ダビンチ

レオナルド・ダ・ビンチの「救世主」に見る鑑定の役割

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レオナルド・ダ・ビンチの「サルバドール・ムンディ」(救世主)が、ニューヨークのクリスティーズで記録的な金額、508億円で落札されました。

ダビンチの作品は、世界中で20点以下しか確認されていません。

バブルな時代、東京銀座の美術商「月光荘」が、自画像の素描を輸入したことがあり、イタリアから返還命令がでたことがありました。国外へ持ち出すことが禁止されているんです。まさに、国宝です。

今回の、キリスト像は、個人所有の作品で、唯一、売買可能な作品だったわけです。1500年前後の作品と推定されるこの作品は、チャールズ1世の時代にヨーロッパからイギリスへ持ち込まれ、息子チャールズ2世のコレクションだったようです。その後、何度か転売され、修復が加えられました。時を経て、1958年にクック家の子孫により競売会社サザビーでオークションにかけられ、45ポンドで落札されます。その後、2005年アメリカの地方都市のオークションに出品され美術家達のグループが、約1万ドルで落札しました。彼らは、加筆された部分を修復し復元したうえで、真贋の調査をしてきました。

長く、真筆への疑問が拭えなかったのですが、ニューヨーク大学、フローレンス大学、ワシントンDCのナショナルギャラリーなどが、科学的な調査による鑑定の結果ダ・ビンチの真筆と結論しました。

2008年に、ロンドンのナショナルギャラリーに持ち込まれ、ナショナルギャラリーが所蔵する、「岩窟の聖母」と同時期の真筆であると結論付けられたわけです。

お墨付きを得て、2011年に一般公開されました。

そして、今回のオークションとなったわけです。

真贋の問題が、いかに美術品において大問題なのか。グレーではダメなんだってことがわかりましたね。さらに、真作とお墨付きを与えられると青天井なんですね。

ピカソやクリムトなど、オークーションレコードが次々と塗りお変えられているので、高額になるとはわかっていましたが、500億を超えるんですから....

美術品に関して、真作と認められることが決定的に価値を高めることになるわけです。雲泥の差です。

怖い気もしますね。

ある作家の鑑定を、亡くなった作家の奥様がされているのですが、「脅されることもある」と言っていましたね。

日本では、藤田嗣治など鑑定で問題が起こることがあります。フランスの画集に掲載されているのに鑑定書が日本で付かないなど聞きます。

シャガール、ピカソは作品そのものを鑑定機関に送らないといけません。写真では受け付けないんです。その上、贋作と判定されると、破棄され戻ってきません。鑑定依頼をするのも勇気がいります。作家のご遺族が所蔵していた作品で、絶対大丈夫位だとわかっていても、依頼するときはドキドキします。

 

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