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主要国内オークション会社5社の特徴と美術市場の変化

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国内主要オークション会社5社

定期的にオークションを開催する主要4社

それぞれ特徴がありますが総合的に美術品ほか宝石、ワインなど幅広く扱っているのは、毎日オークションとシンワアートオークションの2社です。

順にオークション会社の成り立ちを見てみましょう。

 

毎日アートオークション

毎日オークションは毎日新聞の関連会社です。出品者にとっても大手新聞社の系列という安心感があります。
年間取扱高81億2,400万円(会社概要より)
市場落札額シェア約51.63%(出自:2018年3月『月刊美術』「2017年美術品競売会社年間落札総額シェア率」)
取扱量・出来高とともに業界トップ、1989年設立し、どなたでも参加できる欧米型公開オークション会社の老舗です。
取り扱い品目は、絵画・版画・彫刻、陶器、西洋美術、古美術、茶道具、宝石・時計、家具・段通など、幅広く網羅しています。オークションは4つのカテゴリーに分けられています。各カテゴリーは「絵画・版画・彫刻」「西洋装飾美術」「新作工芸・古美術・茶道具」「宝石・時計」の4ジャンルとなり、合計年間30回前後開催しています。
メインの「絵画・版画・彫刻」のセールは出品数が毎回1000点前後とダントツの出品点数です。「宝石・時計」のセールも人気が高く、ハリーウインストンほか、世界のブランド品や高品質のダイヤモンドなどまばゆい商品が出品されています。
数万円から数十万円の価格帯の出品も多くショッピング感覚で楽しめます。

 

シンワオークション

1991年日本画・洋画を扱う大手美術商5社により設立された日本初の本格的なオークション会社です。2005年には大阪証券取引所「ヘラクレス」(現東証JASDAQ市場)へ上場を果し、株式市場でも人気銘柄となっていました。現在は、中国資本との提携や役員構成も変化し、エネルギー事業など多角経営化しているようです。
出品は美術商が主に扱う作家たちの作品です。デパートなどで取り扱う、文化勲章作家を中心に日本美術の重鎮たちの作品が主流です。そういう意味では、本来、デパートなどで購入していたコレクターや画商が多く参加しています。
開催回数は2017年度で18回でした。その内ワインが3回、宝飾品・時計が4回、美術品(絵画、陶器、西洋骨董)が11回です。温度湿度管理の保管倉庫を完備し、ワインのオークションを最初に始めました。
美術品ジャンルのうち、中心は「近代美術・近代美術Part2」というカテゴリーのオークションです。出品点数は毎回300点程と残念ながら多いとは言えませんが、コレクター、美術商には気になる作品がよく出品されます。
落札予想価格(エスティメート)が低めに設定され過ぎている傾向があり気を惹かれますが、しっかり競られ、安くは買えず、がっかりさせられます。ここの、宝飾品も世界の一流品が出品されています。

 

マレットジャパンオークション

マレットジャパンオークションは、現代美術を扱う主要美術商が多く参加しています。マニア垂涎の作品が出ることがあります。ピカソ、ミロ、シャガールなども出品されますが、こだわりのある美術商が多く参加しているため、ポップアートやミニマルアートの作家から日本の異色作家までコレクターよりのマニアックな作品がよく出品され目が離せません。
1回の出品作品数は200点ほど、年間開催数5回と規模はさほど大きくありませんが、宝探し的魅力のあるオークション会社です。

 

SBIオークション

SBIオークションは、SBIホールディングのSBIアートフォリオが運営するアートオークションです。現代美術に特化したオークション会社で年間4〜5回開催されます。主に国内外のホットな現代美術作家が出品され外国人の参加も活発です。
SBIオークションのカタログには、まだ値段の安い日本の若手現代美術作家を丁寧に解説付きで掲載されています。セールが終わっても手元に残したいほど資料として充実しています。新人発掘や作家の評価付けなど、これからの現代美術の中心的なプラットフォームになると思います。
10万円前後の手軽な価格帯からあり、未来のスターを探したり、モダンなインテリアを探すにも最適なオークションハウスです。

 

i ARTオークション

毎日オークションと傾向が重なりますが、もともとの歴史からですと息の長いオークションです。そのため、しっかりしたコレクターが付いている印象があります。開催数は年会5回ほどですが、たまにビックリするような作品が出品されます。

 

独自路線の老舗オークション会社:CBAアートオークション

CBAアートオークション 歴史は古く30年以上前から「CBAアートレポート」という販売希望作品リストを顧客に郵送していました。購入希望作品があれば Faxにて希望価格を入札し、最高額の入札者が落札するという、今思えばのんびりしたオークションを始めた会社です。現在もインターネットオークションに特化して活動されています。下見希望者は事務所で確認できます。
作品とは「一期一会」ですから、どこで出会えるかわかりません。大手以外のオークションにも魅力的な作品が出品されることがあります。

 

デパート主導型の日本の美術市場からの転換

日本の美術市場はデパートでの販売に依存している割合が高く、デパートと作家と美術商(古美術商は除きます)がタッグを組んで美術の普及に邁進してきたわけです。
今オークションに出品されている作品は、デパートを通して購入されたコレクターが所蔵されていた作品が主流です。毎日オークション、シンワアートオークションに出品される作品はほとんどその流れの作品です。国内美術品市場の主流銘柄といえます。

このように美術市場から見ますとかつてデパートや画廊で販売された作品がオークションで再販されているという図式です。

デパートでは大絵画展とうたって少なくとも年2回、大販売会を催します。文化勲章受章記念展など新聞社主催の作家の展覧会も主会場はデパートです。デパートがアートフェア会場や美術館の役割を担ってきました。

商業施設であるデパートに頼りきった今までの美術市場から美術館、画廊、オークション、アートフェアーが主役になる市場に転換すべき時期にきています。

2018年4月7日文化庁が「アート市場の活性化に向けて」という方針を発表しました。

文化庁によると、日本のGDP(国内総生産)世界3位、100万ドル以上の資産を持つ富裕層世界2位という経済大国であるにもかかわらず、アート市場規模が2,437億円と極端に少なく、世界全体、637億ドル(約6兆7,500億円)に対し3.6%しかないと伝えています。その上で、日本のアート市場を拡大させるためもっと国の内外の個人・企業コレクターに日本の美術品を買っていただくための重点対策3点を示しています。その3点とは、

(1)積極的に美術展を国内外で開催し、論文を発表し、作家の評価、作品の価値を認定する権威としての美術館の存在を目指す。

(2)世界中のコレクターに参加していただける世界的規模のアートフェアー、オークションという市場を確立する。

(3)美術館が重要作品を収集するための相続税の納税猶予の特例の創設し美術館に寄贈や寄託しやすい税環境を目指す。

という基本方針です。
この方針が実行されれば、美術品が財産や投資として正しく扱われ、世界のコレクターが注目し、参加していただける透明性、流動性の高い美術市場が構築出来るかもしれません。美術館、美術商、コレクター、税制の厚く重い壁が取り壊され風通しが良くなり、アートフェアーやオークションでの売買が活発になれば、作家も生活が成り立ち、業界の活性化につながりそうです。美術教育は、別の問題としてありそうですが、アーティストが大学などの先生ではなく作家として生活を維持していくことは大変なことなのです。

 

世界の2大オークション会社

世界にはサザビーズとクリスティーズという2つの大きなオークション会社があります。

かつて日本はアジアの主要な美術市場でした。美術品の輸入額が1兆円を超え、日本でのセールもありました。

残念ながら現在ではジャパンセールは開催されていません。オークション取り扱い部署の日本美術部門がなくなっているところもあります。

世界戦略上のアートマーケットは、香港、上海が中心になっています。日本法人はどちらの会社も設立しており、事務所は開設しておりますので、出品依頼や落札参加の相談など受け付けています。

 

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