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美術品は投資対象になり得るのか

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優れた美術品は資産です。資産でありますが投資対象としてはどうなんでしょう?世界ではリスクヘッジとして重要視されていますが、日本ではこれからなのでしょうか?資産の保全・活用対象としての美術品を考えてみます。

世界の投資事情とトレンド

資産管理の主流は、株・債券・その他に30%づつ投資する分散投資です。
その他の部門には、貴金属・宝石・美術品・ワイン・アンティークカー・時計などが含まれます。美術品に関わる重要なレポートを見てみます。

デロイトアート&ファイナンスレポート2017

(参考資料 Sotheby’s INSTITUTE OF ARTより)
Deloitte Art and Finance Report)

この市場動向レポートは、デロイト トーマツ グループが2011年より毎年発表している市場トレンドのレポートです。

富裕層向け総合金融サービスを提供しているマネージャーの65%が、美術市場の拡大と需要を背景にアートに関わる金融サービスを積極的に提供していくと回答していて、投資、資産管理のポートフォリオに株、債券同様、美術が積極的に組み込まれトレンドになっていると発表している。資産管理アドバイザーとして、アートアドバイザー、コレクションマネージャーの存在が重要。資産運用会社の78%が現在アートコレクションサービスを提供していると回答している。アメリカ、ヨーロッパ、中国の現代美術市場がそれぞれ上昇するであろう(2016年に比べて)と予想している。

ウィキペディアより
”デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(Deloitte Tohmatsu Consulting LLC 略称:DTC)は、世界最大規模の会計事務所であるデロイト・トウシュ・トーマツ(デロイト)の主要メンバー企業であり、世界150ヶ国、25万人以上のエキスパートが連携し、経営戦略、M&AやITアドバイサリーなど多岐にわたる専門サービスを提供する世界最大級のグローバル経営コンサルティング会社である。”

サザビース、クリスティーズの販売額の大幅な増加が示すように、世界の富裕層の資金が特に現代美術を主要なターゲットととして、美術品全体を重要なアイテムと見なす傾向はトレンドとなっています。

アートは流動性が低い

重要なアイテムとなっているアートですが、市場における流動性は不動産以上に低いものです。長期の保有が前提となりますし、場合によっては何代にわたって保有する性質のもので、短期の投資には不向きといえます。

保管手数料

美術品の保管には、温度、湿度、化学物質などに注意が必要になります。それなりの安定した保管環境を確保し続ける経費がかかります。東京では寺田倉庫が美術品やワインなどに最適な環境を提供しています。自由に楽しむことはできませんが、美術館に寄託する方法もあります。

価値の底堅さはある

美術品の希少性は最高ランクです。オリジナルに限れば1点のみですので金銭的価値は究極は無限大です。
世界の美術市場では、数十億円から百億円を超えて取引される作品も珍しくなくなりました。日本では、昔から巨匠の作品は家一軒分と言われてきました。現在でしたら数千万から数億という範囲でしょうか。三十年以上価格の変動を見てきました。変動はありますが、高くブランド化された日本画を代表する横山大観や洋画を代表する梅原龍三郎は、価格に底堅さがあります。どんな作家のどんな作品を購入するかが最重要問題です。美術史的にも重要で、コレクターの需要が高い作品群に限定してコレクションしていけば、楽しい上に利益を生むことを期待出来るジャンルです。

景気後退期最初に下がる・景気上昇期最後に上がる(上昇しだすと急上昇)

2019年は、一部の現代美術を除いて相対的に底値に近い状況です。過去、美術品は1971年(昭和46年)から数年間と1986年(昭和61年)から数年間の2度、経済バブルの影響を受けています。商品の性格上、景気上昇局面では一番最後に資金の流入を受け、急激な高騰に市場が混乱する傾向にあります。また、景気の下降期には初期段階で下降していきます。購入時期として理想は、現在のように底値で需要のある良品を選んで買える時期となります。購入時期、作品の選別、長期保有することが可能であれば、本来不況に強い投資資産として見ることができると考えます。どんな作品を購入できるかが大きな問題です。

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