デパートの大樹の下からギャラリー&オークションへ移行
美術業界は、デパートと共に歩んできました。美術団体は、デパートの催事場を発表の場とし利用してきました。新聞社主催の文化勲章作家の記念展もデパートで開かれます。
老舗デパートが、文化の担い手になってくれたおかげで、繁華街の一等地の場所で多くのお客様に見ていただけました。
さらに、デパートは、発表の場であると同時に、たくさん販売してくれるお店です。作家の生活も、またデパートに依存してきました。
老舗デパートでの個展が作家のステータスになり、賞を受賞したら受賞記念展を用意してくれました。デパートは、暖簾を貸し、場所を貸し、さらに販売を担当することで作家を応援してくれていたのです。当然、デパート側は、収支からしたら、とても満足のいく様な売り上げではなかったのですが、ステータスとして文化を擁護してくれていたのです。
絶大な影響力を持っていたデパートも、昨今の消費行動の変化によって新たな経営形態を模索するため試行錯誤の状態にあります。作家も、安井賞、山種美術館大賞、新聞社主催の賞、など目標としてきた大きな賞が姿を消し人気に火がつく機会が少なくなってしまっています。
その上、お茶道具など陶器、工芸作品の販売が、かつての勢いを失ったこともあり。売上の低下により老舗デパートも対策に躍起です。多くの美術商もデパートの出入り業者から自立する時期です。
大きな変化を見据えて、高島屋のように現代美術を独自でプロデュースしていこうと大きく舵をきった所もあります。
デパートが「東京アートフェア」に独自に出店するようになりました。ギャラリーとして自立の道を歩み出しました。しばらく艱難時代が続くかもしれませんが素晴らしい未来が開かれると思います。