保管 覚書

美術品を持ち寄り地域で保存活用の可能性

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以前に美術品を支える町職人が静かに店を閉めている話を書きました。

美術品を支える職人たちが消えていく

現代美術は額なしで飾ることが多いですね。額装したとしてもシンプルなフレームです。軸装作品を見ることも減りました。「書」でさえ多くは額装になっています。 美術を支える縁の下の職人たち 作家の手元を離れた ...

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今日は町衆文化そのものも消えゆき、観光でしか見られない時代が来ますというお話です。だらだらと書きます。

ここ10年位で日本から軸や屏風が急速に消え、お茶のお道具も消え、お屋敷の蔵などに死蔵されている作品もいずれ処分されていくのだろうと思えてなりません。

文化的な財産であるこれら美術品はその扱いにくさと登場させる機会がないことに加え、断捨離ブームで処分されてきています。全国に蔵屋敷が多くあった頃はその絶対量も少々の処分など気にならないほどあったでしょう。

かつては畳を張り替えるように、伝来の屏風や軸は必要に応じて職人の手により修復され受け継がれてきたのですが、屋敷の大広間に親戚一同が集まることもなくなり、必需品としての屏風や軸の役割が終わりました。

最近このように絶滅の危機にある軸や屏風を夏の夜祭りの時、各家で展示し道行く観光客に披露するというお祭りを知りました。他でも見た気がします。夏に同様のお祭りが各地で行われているのでしょう。

今回の知ったのは高知の土佐赤岡(現香南市)で毎年7月の弟3土曜日・日曜日に開催される「絵金祭り」です。この地で江戸末期に狩野派の絵師として活躍した絵師金蔵通称「絵金」の屏風がこの時だけ一堂に披露されます。湿度管理され共同で大事に保管されている23枚の屏風です。このように地元で立案運営されるお祭りは、地域の住民を結束させ地域文化を継承し、さらに経済効果を生みます。若者も積極的にかかわり、住民による役者が演じる歌舞伎の上演、夜店など催しも地域の協力で運営しているようです。

捨てられていく美術品を守ったり伝統的な職人技を継承していくことは個人ではできませんし、利益を産まなければ継承もされていきません。残されている美術品を観光資産として地域で守り、職人の仕事を作り経済効果をうむことこそ大事なことです。

いまや屏風を生活の中で使うことはなくなりました。職人の仕事が減るのも当然です。屏風や軸やお茶道具は、興味がなければ大事にしていた所有者の手元をはなれた途端多くは処分されてしまうのです。

共同で管理でき観光資源として活用できれば少しは残るのではないかと思ったわけです。

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