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美術品を支える職人たちが消えていく

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現代美術は額なしで飾ることが多いですね。額装したとしてもシンプルなフレームです。軸装作品を見ることも減りました。「書」でさえ多くは額装になっています。

美術を支える縁の下の職人たち

作家の手元を離れた美術品はかつては多くの職人さんの手をかりて立派に仕立てられ愛好家の家屋や床の間を飾ってきました。表装でしたら「糊」「和紙」「布」「金蘭」「組紐」「象牙」「桐箱」「漆」「塗師」などの職人の手による材料の提供を受け「表具師」が絵にふさわしい仕立てを組んでくれました。絵にふさわしい布を表具師と一緒に打ち合わせするのは最高の楽しみでした。額でしたら「木地」「金箔に仕上」「刃先」「マット布」またそれらの「幅」「厚み「見せ方」を一緒に打ち合わせするのです。作品ごとのオーダーメイドです。幅は1mm単位、色は感覚です。最終的に表具師、額縁制作者に「ではそんな感じで。おまかせします。」ということになるのですが、そこは職人さんです。出来上がりの報告を受け作品と対面した時「見事ですね。素晴らしい』となるんですね。こちらの注文以上の出来です。これが信頼関係ですかね。

名人による名店

全部のお店とお取引したわけではありませんが職人の代表格のお店をご紹介します。中にはすでに閉店されているお店もございますのでご勘弁ください。表具ですと「寺内遊心堂」「中村鶴心堂」「都表具 根岸」「古心堂」など素晴らしい職人さんです。額ですと「岡村多聞堂」「垣内」「仁科一恵堂」「吉井弘雅堂」「古径」「大地堂」「川口額装」「浅尾佛雲堂」「箔山堂」「太田美術額装」などは素晴らしい仕事です。これらは関東の職人さんです。全国それぞれの地域に信頼できる職人さんは多くいらっしゃったと思います。

名人技が消えていく

作品を引き立て世に送り出し、確かな技術で作品にあった必要最小限のメンテナンスを施してくれる職人さんや、職人さんに安心して使ってもらえる極上素材を提供する職人さんたちが急速に消えています。ご高齢もあって静かにお店をたたんでいってらっしゃるのです。「化学肥料で育てた楮」(こうぞ)で漉いた紙、東南アジアからの「桐・漆」、防腐剤入の「糊」では良い仕事はできません。昔に戻ることはできませんが、可能な限り続けて下さることを願うばかりです。今日、軸の洗いと、額装をお願いしてきた時、職人さんと話題になったお話でした。

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