最近、日本で話題になる現代美術の価格の高騰とオークションの努力について考えてみます。
世界の注目を日本の現代美術に向けさせてのは村上隆でした。それ以降、草間彌生、リーウーファン、奈良美智が価格高騰作家の代表です。
価格が高騰する作家がいるとニュースになり、美術が注目され、場合によっては新規参入のコレクターが増えることにつながり、オークションの活況につながります。
オークション会社は、市場が大きくなり作品が高値で落札される様に努力をしています。
そのため、素晴らしいコレクションを持つコレクターにオークション出品を要請し、高く落札してくれそうなコレクターが参加してくれる様に努力します。
その実績がコレクターを引き寄せオークショニアとして名声が築かれるのです。
素晴らしいコレクションを出品していただき、注目されるオークションを開催し続け、オークションレコードを更新することが、オークション会社のもっとも有効なPR広告となります。
オークション会社が実力のわりに正しく評価されていない作家に正当な評価が与えられる様に仕掛けを考えることもあるのかな?と思うこともあります。
海外で高く評価されている草間彌生も、日本では正しく評価されているとは言えませんでした。オークション会社が韓国、台湾、中国のコレクターの参加を促したことで、自然と高値で落札される様になったと感じます。
オークション会社が高く買ってくれそうなお客様を呼ぶ努力をしたからだと思います。
海外の著名なオークション会社の「サザビーズ」や「クリスティーズ」は、たくさんのディレクターが世界中を飛び回っています。日本人のディレクターもいらっしゃいます。
富豪が亡くなった時「葬儀社より早く、オークション会社がやってきた」と言われるほど彼らは、フットワークがよく、多くの情報量を持っています。出品依頼の営業努力はあのムンクの「叫び」を出品させた話にもかいま見れます。
また、高値で落札した方はスタンディング・オベーションで賞賛され、トップニュースで報道されます。作家は国民の誇りにもなります。
オークション会社は最高の作品を集め、最高の場所を用意し、セレブを集客し、セレモニーとして演出します。
落札者は投資家というより芸術の理解者、擁護者として歓迎され最高額で買うことで賞賛を得るのです。
アーティスト、コレクター、オークション、国民、みんなで文化を産業として盛り上げています。
羨ましいですね。
オークション会場は社交場のように華やかです。
日本のオークションには格式はありませんしセレブはまだ見かけません。かつてのシンワオークションはオークショニアがタキシードに身を包んでいたり、豪華ホテルの会場で開催されたりして社交的な雰囲気がありました。現在、ほとんどのオークション会場はジーパンで気軽に参加できます。